皆さんこんにちは!メディワーク公認心理師の西川です。
現代の職場は、高い生産性を追求する一方で従業員の健康と幸福を守ることが重要です。健康経営が注目を集める中、ストレスチェックは従業員の心理的健康を評価し企業の成果にポジティブな影響をもたらす手段として重要な役割を果たしています。ストレスチェックは従業員が50人以上の事業場では1年に1回実施する義務がありますが、従業員50人未満の事業場でも取り組む企業が増えています。そこで今回は、ストレスチェックのメリットと注意点、その後の取り組みへの活用について考察してみます。
1.ストレスチェックのメリット
2.ストレスチェックの注意点
3.チェックを終えた後が肝心!その後の取り組み
1.ストレスチェックのメリット
従業員の健康のサポートと心身のリスク軽減
ストレスチェックは、従業員のストレスレベルや心理的な健康状態を把握するための貴重な手段です。慢性的なストレスは従業員の心身に悪影響を及ぼす可能性があり、適切なケアやサポートを講じなければ従業員の心理的健康を損ない、企業の大切な人材を失うことにも繋がりかねません。ストレスチェックによってこれらのリスクを早期に発見し、セルフケアを促進したり、研修などを通じてヘルスリテラシーを高める等の対策を早期に講じることによって従業員の将来的な健康問題のリスクを軽減することができ、大切な人材を守ることができます。
労働生産性の向上と従業員エンゲージメントの向上
ストレスや心理的負担が放置されると、従業員のパフォーマンスや生産性が低下する可能性があります。これは現在までの様々な研究によって明らかにされているところです。またそういった研究結果に反し、心理的負担や問題を早期対応することで生産性の向上がみられた結果も存在します。企業が従業員の心身の健康の重要性を認識して対応することで、従業員が自身のストレスや悩みを共有しやすくなり組織との信頼関係が深まります。従業員が組織に対してオープンにコミュニケーションを取る環境が醸成されることは「会社に貢献したい」という従業員の自発的な意欲である「従業員エンゲージメント」を高め、組織への帰属感の強化も期待できます。
ヘルシーな職場環境の構築が企業価値を高める
ストレスチェックの結果を基に、職場環境を改善するためのには集団分析を活用することがおすすめです。部署ごとのストレス状況やストレス要因なとを把握することで、より適した具体的な対策が可能となります。個別対応はもちろんのこと、日頃わかりづらい従業員の声を抽出しストレス要因について考えることで、健康的な職場環境を築くことができるでしょう。健康的な職場環境は従業員の満足度を高める効果があります。満足度が向上すると離職率が低下し、従業員の仕事の定着率が向上します。また社会的責任を果たす企業としての良いイメージを築くことができるため、優秀な人材を引き寄せやすくなるメリットもあります。
▲厚生労働省HPより引用
2.ストレスチェックの注意点
プライバシーと匿名性の確保
ストレスチェックを実施するにあたって、いくつかの注意点があります。従業員のプライバシーと匿名性を守るためには収集された情報や結果の管理には特別な配慮が必要です。情報漏洩を防ぐためにセキュリティ対策を徹底し、匿名回答の選択肢を提供しましょう。ストレスチェックの結果を閲覧できるのは、チェックを受けた本人と実施者のみです。実施者は産業医や研修を修了した保健師、公認心理師等であり、会社外の専門家に依頼することが多いでしょう。この際には専門性の高い、信頼できる専門家に依頼することも大切なポイントです。また調査や対応策の立案において、従業員の属性に基づく差別や偏見を排除することが求められます。公平性を保つために調査結果を分析する際には中立な立場でアプローチすることが重要です。
従業員への説明と透明性
ストレスチェックの目的と方法については、チェックの事前に従業員に対して明確かつ透明な説明を行うことが大切です。従業員がなぜ調査が行われるのかを理解し、不安を軽減するための努力が求められます。従業員が安心感を持つことでチェック自体の正確性が増すことでしょう。
地域や国によっては、従業員の健康データの収集や管理に関する法的規制が異なる場合があります。ストレスチェックにはプライバシーを侵害しないための規則が存在し、法的コンプライアンスを確認し遵守することも企業に求められることです。
企業が従業員の健康を尊重し組織の繁栄に向けた取り組みを行うためにはストレスチェックの実施が有益です。しかし同時に注意を怠らないことが大切です。従業員と組織の双方にとってポジティブな影響をもたらすために、メリットと注意点をバランス良く考慮しながら取り組んでいきましょう。
3.チェックを終えた後が肝心!その後の取り組み
個別カウンセリングとサポートの提供
ストレスチェックの結果をもとに、ストレスが高いと判定された従業員に対しては本人が希望した場合に限り産業医との面談が必要になります。しかし高ストレスと判定された従業員が実際に産業医と面談する割合はとても低いのが実際です。専門職と個別に面談することは、従業員が何に対してストレスを感じているのか、体調への影響などを知ることに繋がります。具体的なストレス要因や問題を掘り下げ、より適切なサポートや解決策を講じるために必要な手段です。
健康促進イベントの企画でヘルスリテラシーを強化
ストレスチェックの結果をもとに健康促進イベントや研修を企画することも効果的です。ストレス解消法や健康的な生活習慣の提案、リラックステクニックの実践などを通じて、従業員のメンタルと身体の健康をサポートします。
人事部や総務部、経営層のコミットにより、業種や業態に応じた会社オリジナルの従業員向けストレス管理やメンタルヘルスのトレーニングプログラムを開発したり、柔軟な働き方の提案、ワークライフバランスの取り方など従業員のニーズに合った内容を検討することも効果的です。
チームのコミュニケーションを改善し、組織文化の促進・職場環境を改善する
ストレスチェックの分析結果をチームのリーダー等と共有し、チームのコミュニケーション改善に役立てます。チームメンバー同士でストレスや負担を共有することは、お互いの理解を深め、協力的な職場環境を築く手助けとなります。直属の上司などの身近なリーダーからのヘルスケアに対する明確なメッセージやリーダーシップは、従業員が自身のストレスや心理的負担をオープンに話しやすい環境を整え、メンタルヘルスを尊重する組織文化を促進することができます。
成果と効果の評価
ストレスチェックの結果をもとに定期的なフォローアップ調査を行います。前回の調査結果と比較し改善された点や新たな課題を把握することは、組織の健康経営戦略を進化させる手助けとなります。また従業員の健康と組織の成果にどのような影響があるかを評価し、分析と改善効果を可視化することで、組織全体の長期的な健康経営の戦略を確立します。
ストレスチェックの結果を有効に活用することで、従業員のメンタルヘルスと組織の成果を向上させることができます。重要なのは、結果を単なるデータとして受け取るのではなくそれを具体的なアクションにつなげ、従業員の健康と幸福を真にサポートすることです。
ストレスチェックは会社の環境をより良くするための良い機会になります。結果を単なる収集データとして終わらせないように、問題の把握後は適切な対応策を用意し、結果をもとにした継続的なフォローアップを行うことが重要です。
メディワークでは、ストレスチェックの実施者となれる公認心理師が対応します。会社の健康管理について専門職による無料ヒアリングも承っております。職場の健康づくりにお悩みでしたらぜひ一度お話しをお聞かせください!