メンタルヘルスの鍵:アンコンシャスバイアス

アンコンシャスバイアスとメンタルヘルス

こんにちは!公認心理師の西川です。

現代の社会では、メンタルヘルスの重要性がますます認識されてきました。企業においても従業員のメンタルヘルスが生産性やパフォーマンスに与える影響が注目され、「健康経営」というワードも浸透してきています。メンタルヘルスの改善にはさまざまな要因が関与しますが、その中でも「アンコンシャスバイアス」という要素に着目することはとても重要です。今回は、アンコンシャスバイアスとメンタルヘルスの関連性についてご紹介いたします。

1.アンコンシャスバイアスとは何か?

2.アンコンシャスバイアスとメンタルヘルスの関係

3.アンコンシャスバイアスを克服する方法

1.アンコンシャスバイアスとは何か?

アンコンシャスバイアスとは、無意識に持ってしまう先入観や偏見のことを指します。これは個人が自覚していないレベルで形成されるため、行動や判断に影響を与えます。これらのバイアスは仕事においてもその影響を及ぼし、人の見た目や性別、人種、年齢など様々な要素に基づいて無意識に偏った判断を下してしまうことがあります。

例えば「この人はこういう人に違いない」「こういう人はこういった考え方をするに違いない」、「あの人は若いから(年齢を重ねているから)こうだろう」「あの人は女性だから(男性だから)こうだろう」など、自分の経験から基づく偏った判断をすることはありませんか?こういった先入観や偏った見方は自分ではなかなか気が付きにくいものですが、こういったバイアス(ものの見方の偏り)は皆の思考に存在します。仕事をチームで行う上では配慮としてそういった認識が必要になることもありますが、時に自分の偏った認識を押し付けてしまうことになりかねません。

アンコンシャスバイアスを理解することは、会社のメンタルヘルスを考える上で非常に重要です。管理職は特に部下のメンタルヘルスをサポートし、良好な職場環境を整える役割を担っています。アンコンシャスバイアスに気づかないまま不適切な対応をしてしまうと、従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が高まります。しかしアンコンシャスバイアスを理解し、自分の無意識の偏った認識に気づくことで適切なサポートを行うことができれば職場環境をより良いものにすることができるでしょう。

2.アンコンシャスバイアスとメンタルヘルスの関係

アンコンシャスバイアスとメンタルヘルスの関係は深く結びついています。

メンタルヘルスは心の健康や心理的な幸福感、ストレスへの対処能力などを指します。職場においては従業員のメンタルヘルスが良好であることは生産性や効率にも大きく影響します。一方で、アンコンシャスバイアスが存在するとメンタルヘルスに対するリスクや負担を増大させる可能性があります。

例えば、アンコンシャスバイアスが性別や年齢、人種に対して仕事の場面で影響を及ぼす場合、差別や偏見によるストレスを感じる従業員が増える可能性があります。これは良いバイアス(特定の人に良い印象を持つ偏った価値観)の場合にも、特定の従業員に対してバイアスが働くことで、チーム内のコミュニケーションに不均衡が生じチーム全体のメンタルヘルスにも悪影響を及ぼす可能性があります。またアンコンシャスバイアスが評価や昇進に影響を与える場合、公平性が欠如し従業員のモチベーションや自己肯定感が低下することも考えられます。

3.アンコンシャスバイアスを克服する方法

克服する方法は、自己認識と教育、そして多様性の尊重に焦点を当てることが重要です。

・自分の価値観を認識する

まずは自分の無意識の偏見や先入観に気づく努力が必要です。例えばある従業員が何かしらの問題を抱えている場合、無意識のうちにその人に対して過大な(過小な)配慮をしたり、仕事の実績にかかわらず過大(過小)評価したりすることがあります。(過大・過小は判断する人の価値観により入れ替わります)このような場合、自己認識を高めるために以下のような問いかけを行うと良いでしょう。

「なぜその従業員に対して特別な配慮をしているのか?」

「もし他の従業員が同じ状況だったら、同じように対応しているだろうか?」

こういった問いかけを通じて自分自身のアンコンシャスバイアスに気づくことができます。

そのほか、同僚や部下からのフィードバックを積極的に受け取ることや周囲の意見を尊重することも自分の価値観を知るきっかけになることがあります。

見た目や性別、自分と他者との関係性の中で偏った考えになっていませんか?自分は大丈夫、と思う人ほど積極的に振り返ってみてみましょう。

・トレーニングや教育

アンコンシャスバイアスに関するトレーニングや教育を受けることで、無意識のバイアスに対する理解を深めることができます。例えば、会社の管理職や従業員全体に対してアンコンシャスバイアスについてのワークショップやセミナーを開催することで、参加者が自分のアンコンシャスバイアスに気づきその影響を理解することができます。

また、具体的なシミュレーションやロールプレイを行うことで、実際の場面でどのようにアンコンシャスバイアスが影響するかを体験することができます。このような教育を通じ従業員全体がアンコンシャスバイアスに対する理解を共有することで、健康な職場環境を築くことができるでしょう。

・多様性の尊重

アンコンシャスバイアスを克服するためには、多様性を尊重し従業員に対して公平で公正な対応を心がけることが大切です。例えば面接や評価の際には個人の能力や適性に焦点を当て、外見や性別、年齢などの要因に基づいて判断を下さないよう心掛けましょう。

また、チーム内でのコミュニケーションにおいても従業員の意見を尊重し対等な立場で意見交換を行うことが重要です。アンコンシャスバイアスを回避し多様性を尊重する職場環境を築くことで、従業員のメンタルヘルスを支援することができます。

まとめ

人は自分の経験から積み重ねた価値観により人を判断することが多くあります。それは生きていく上で他人とコミュニケーションをとるために必要なことですが、仕事上においてはその価値観のみで物事を判断してしまうとトラブルの原因となったり、ストレスを抱える、もしくは立場によってはストレスを与えてしまうことに繋がってしまうことがあります。

アンコンシャスバイアスに対する理解を深めて克服することは、健康な職場環境を作り上げ従業員のメンタルヘルスをサポートすることに貢献することができます。意識的にバイアスを排除することでより良い職場を築くことを目指しましょう。

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